何のために勉強をするのか。何のために国語を学ぶのか。誰しも1度は疑問に思ったことがあるのではないでしょうか。
偉い人になるために勉強をしているわけではありません。お金持ちになるためでも、良い仕事に就くためでもありません。
「たった1度しかない人生を幸福に生きるため」に人は学ぶのだと私は考えています。
この世界には自分以外の人間(他者)が存在します。他者との関わりが皆無の状態で生きていくことはできないのです。相手に伝え、相手から思いを受けとるためには人とコミュニケーションを図る必要があります。そしてその手段として私たちは「言葉」を使います。書く力や話す力が必要になることもあれば、聴いて理解する力や読み取る力も要るでしょう。人間はそうやって他者と繋がりながら生きているのです。
他者と生きる世界の中で自分自身を見つめ、感じ、思考しながら人生の舵を取っていく。そのための手段として国語を学びます。人生の岐路に立たされた時、筋道立てて考えて、選択や決断ができるように。大切な人の心に寄り添い、支えることができるように。そのために我々は言葉を覚え、論理を学び、心情を汲み取る練習をするのです。30年以上、多くの国語指導に携わってきた経験から、そう確信しています。
ところで、今までに「国語の力を1ヶ月くらいで身に付ける方法はありませんか?」と幾度と無く質問をされてきました。
でも残念ながらそんな方法は存在しないと私は思っています。暗記や解法テクニックなどを教えれば一時的にテストの点数を取らせることはできます。でもそれはあくまで一時的なもの。エステに行ったからといって一日で美肌にならないのと同じです。子どもの性格によっても伸び方は異なります。話すことは得意だけれど作文になると全くできない子どももいれば、その逆の子どももいます。
すぐに理解できる子もいれば、理解に時間がかかる子もいます。指導する側の私たちは、子ども1人1人の資質をじっくり観察しながら、個人に合わせた指導法を行なっていく必要があります。また、子どもの環境によっても国語力は左右されます。
例えば、幼少時から本の読み聞かせをしてもらっていた子と、その機会が全くなかった子では「語彙力」に差が出ます。家族が乱れた日本語を使っていたり、親子の会話が極端に少なかったりすると、子どもの言葉遣いや言語表現力にも影響が出ます。つまり、「家庭教育力」にも国語の力は大きく左右されるということです。
このように、国語は短期間で出来るようになる教科ではありません。子ども本人はもちろん、ご両親や指導者が日々努力を重ねて徐々に身に付く教科なのです。
それらを考慮に入れてカリキュラムを何度も練った上で、この度、「国語専門塾みがく」を開校する運びと成りました。国語という教科の性質上、一度に多くの生徒さんを見ることができないので、各校で入塾制限をさせていただいています。
その代わり1人1人とじっくり向かい合って、その子どもの国語力を少しずつ確実に伸ばしていきたいと思っております。お子さんの国語力に関して不安を抱えていらっしゃる方は、ぜひ一度お気軽にご相談にいらしてください。