「石や~きいも~。おいも。ホカホカの美味しいおいも♪」
焼きいもの移動販売車が家の前を通ります。
うちの娘ひかりはこの音楽が大嫌い。
スピーカーから流れる低いおじさんの声が、ひかりには鬼かお化けの声に聞こえるのかな?
近づくと、
「ちた…。まま、ちたよっ!(訳:来た…。ママ、来たよ!)」
と、ものすごくうろたえて怯えます。
…握りつぶしたミカンの汁で床にお絵かきしているあなたのほうが ママ、遥かに怖いわ。
ところで、この「移動販売車」。
私が子どもの頃には毎日のように団地に来ていました。
例えば、
●豆腐などの食品車
●パンの販売車(「ボンジュール、マダーム…♪」という案内音声だったような…)
●牛乳販売車(もーちゃん牛乳と呼ばれていた)
●本の販売カー(これは隣の団地に引っ越してからは見かけなくなった)
●おやき販売車
●ラーメン屋台車
●竿竹販売
当時、私の住んでいた団地(札幌市豊平区里塚)には大きなスーパーマーケットがなく、あったのは小さな個人商店が1軒だけ。
洋服やカバン、本などは清田に行かないと購入できませんでした。
なので、頻繁にバスに乗って出掛けていた記憶があります。…特に国道36号線沿いに現在もある、清田の「ラッキー」にはよく行ったものです。ここが最寄りの店だったので)
だから移動販売車は当時の私たちには本当にありがたい存在だったのです。
「あっ。今日は水曜日だからモーちゃん牛乳が来るね」
なんて、完全に日常生活の一部として溶け込んでいましたね。
ありし日の移動販売車に思いを馳せていたら、なんだか亡き母のことを思い出してしまいました。
お母さん、移動販売車でよく値切っていたなぁ(笑)
3つ買うからこの納豆もおまけしろ…とか、販売のおじちゃん相手にいつも交渉していたっけ。
おじさん、ほとんどゴロツキと変わらない母の乱暴な値切りを笑ってかわしたり、
「くーさん(母)には敵わないなぁ、ホントに…」 と、サービスしてくれたり。
今思い返すと、あれも楽しいコミュニケーションの場だった気がします。
懐かしい昔日の思い出でした。