今日、7月22日は母の13回忌。
急逝してからもう12年が経つのか。早いなあ。
アセロラドリンク、十勝小豆のおやき、六花亭のバターサンド…。母の好きな物を用意して仏壇にお供えしました。
母はモヤモヤ病という難病だったので、いつどうなっても不思議ではないという覚悟を家族全員が持っていました。それでも母は私なんかよりもずっと体力があって元気だったのもあり、きっとまだまだ大丈夫だろうと油断していたのです。12年前の今日だって、いつもと同じようにお風呂に入り、夕食をもりもりと食べ、ラジオで日ハムの試合を聴いて笑ったり怒ったりしていたそうなのに、僅かその数時間後、たった一晩のうちで、慌ただしく旅立ってしまったのです。
明け方に亡くなり、呆然としながら病院から一時帰宅する私の頭に浮かんできたのは、在原業平の辞世の句でした。こんな時に和歌なんて…と自身に呆れながらも、これほどまでその時の心情にぴったりな表現はないなと思ったものでした。
この歌です。
つひに行く
道とはかねて 聞きしかど
昨日今日とは思はざりしを
訳: 死出の道というのは、誰しも最後は行く道だと前々から聞いてはいたけれど、それがまさか昨日、今日のこととは思わなかったよ。
永遠に続く命なんてない。それは十分に分かってはいるけれども、いよいよ…という時になって初めて、どこか人ごとのように目を逸らしてきた死が実感を伴って目の前に現れるものです。
六歌仙の一人でもある在原業平にしては随分と凡庸な歌を辞世の句にしたものだな…なんて、それまでは思っていました。しかし、母の死に直面した時、空っぽになった私の頭にふと降りてきたのがこの歌でした。まだ上手く泣けない私のこころに共鳴したのがこの歌だったのです。
母が逝ったのは、国語専門塾みがくが開校した3ヶ月後でした。不安を口にしていた私の背中を押してくれた母、幼少期から私の国語力を育て、伸ばしてくれた母には心の底から感謝しています。
ここ最近は、鏡で自分の顔を見るたびに、母に似てきたなと感じます。嫌だー💦と思う反面、母と共に生きているような気がして、ちょっぴり嬉しくなるのです。