今日、本校生のお母様からご質問がありました。
文法に関するもので、「複合動詞」絡みの問題です。
この複合動詞は古典でも生徒たちが苦戦しています。例えば、
「詣で来(もうでく)」は、詣づ➕来 と言うように、異なる動詞と動詞が合体した語です。
「物語す(ものがたりす)」は、物語➕す と、名詞と動詞が合体して1つの単語を形成しています。
現代語の複合動詞は大別して2種類あります。
「語彙的複合動詞」と「統語的複合動詞」です。
語彙的複合動詞の例を挙げると、
①泣き叫ぶ
②走り去る
動詞A➕動詞Bの形になっていて、動詞Bにも実質の意味があります(Aとは並立関係です)。そして次のように言い換えることができます。
AてB
AながらB
AのをB
上の例で言うと、こんな感じです。
①泣いて叫ぶ(泣きながら叫ぶ)
②走って去る(走りながら去る)
一方、統語的複合動詞は、
①降り出す
②食べきる
のように、動詞A➕動詞Bの形はとっていますが、動詞BはAの補助的な役割になっていて、独立した本来の意味は希薄なものが多いのが特徴です。
①は、
降って出す(降りながら出す)とは言いませんよね。出すには実質的な意味はなく、あくまで「降る」という語義を補佐する役割を担っています。
②も同じ。食べて切る、とはなりません。切るは「食べる」という単語の意味を補充する役目です。
ただし、これは簡易的な説明であって、これらの型に嵌りにくい語も多数あります。
食べ終わる(統語的)、震え上がる(語彙的)、話し終わる(統語的)、呆れかえる(語彙的)…などがその一例です。
とは言え、まずは後ろの動詞(B)に実質的な意味があるかどうかで大雑把に判断してから、必要に応じて個別により深く検証してみると良いでしょう。