塾長ブログ

「あげる」と「やる」

仕事柄、「言葉」と言うものを常に意識して生活しています。そんな私がいつも違和感を覚えながら使っている言葉。それは「あげる」です。

★妹に本をあげる
★ペットにごはんをあげる

などと使いますよね。
しかし、この「あげる」という言葉。もともとは「上げる」と書いて、「神仏にお供えをする」、「目上の人に渡す」と言う意味の謙譲語でした。「上げる」という言葉が表すように、手を頭上ぐらい高く上げて差し上げる…という意味合いで使っていたのです。

だから本来は、上の例文のように、目下やペットに対して用いる表現ではなく、
★仏に御供物を上げる
などと用いました。
現在では、この謙譲語としての意味合いが薄れ、美化語としてどんな対象に対しても使うようになってきたようです。

 

一方でその逆…つまり、「上の立場の人から下の立場の人に」渡すという意味合いの言葉は、「やる」や「与える」です。

妹やペットに対してなら、こちらの方を使うのが妥当でしょう。

★妹に本をやる
★ペットにごはんをやる

のように。

だけど、これもまたどこかしっくり来ない感じがします。「やる」は、目下の者にぽんっと物を投げ与えるニュアンスがあるので、どこか尊大(偉そう)に聞こえるのです。

 

だったら、これらの間の言葉…「友人や家族、自分と同じような立場の人に渡す」という意味合いの言葉は無いのかと言う話ですよね。それが無いのです。今の日本語には、この「あげる」と「やる」の中間語が存在しないのですよ。

だから、どこかしっくり来ないな、何か違和感があるなと思いながらも、私は「あげる」という言葉を使っています。

だって無いんだもの、適当な言葉が。

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