「椅りかからず」
もはや できあいの思想には椅りかかりたくない
もはや できあいの宗教には椅りかかりたくない
もはや できあいの学問には椅りかかりたくない
もはや いかなる権威にも椅りかかりたくはない
ながく生きて
心底学んだのは それぐらい
自分の耳目
自分の二本足でのみ立っていて
なに不都合のことやある
椅りかかるとすれば
それは
椅子の背もたれだけ
(茨木のり子さんの詩集「椅(よ)りかからず」から引用
私が予備校講師をしていた頃、業界向けの冊子に書評を書くという依頼を受けました。
その時、題材に取り上げたのがこの詩集です。
当時は、この詩にいたく感銘を受け、共感もしました。
私も、何にも・誰にも「寄りかからず」に、自分の足で歩いて行こう!
…そう鼻息を荒くしたりもしました。
十数年経った今。
ちょっとくらいだったら寄りかかってもいいかな~、と思っている自分がいます(笑)。
そう思えるようになったのは、ごくごく最近なんですけどね。
私にとっては嬉しい変化かな。