以前にも書きましたが、中学生で古文を習い始めた時には、歴史的仮名遣いを現代仮名遣いに直す設問が必ず出題されますよね。
例えばこんな感じで。
春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山ぎは…
問い) 傍線部を現代仮名遣いに直しなさい。
答え)ようよう/ 山ぎわ
しかし、この答えの読み方(ようよう、山ぎわ)はあくまでも「現代での読み方」であって、これが書かれた当時(平安時代前期)は、そのような読み方はしませんでした。では、どう読んでいたのでしょうか。…書かれたままに読んでいたのです。当時は、発音する通りに表記する「言文一致体」でした。
ただ、表記のままと言っても、当時の発音では、「ハ行」を「ファ…」と発音するなど、今とは大きく異なるので、その通りに読んでいるようには思えないかもしれませんね。ちなみに先ほどの文章なら、
ファルファ アケボニョ。イャウイャウ チ(ツィ)ロク ニャリイゥク イャマギファ…
と発音していたようです。
私は大学で、平安から室町の発音を学んだのですが、「上下の唇をつけてファ」など…なかなか難しくかなり苦しめられた記憶があります。
興味がある方は、是非こちらを聞いてみてください。金田一春彦先生による平安時代の発音を復元する試みです。
ちなみに上代(奈良時代)まで遡るとこんな感じになります。
古典を文章だけで勉強するのではなく、当時の文化や発音など、視覚的・聴覚的に学ぶと多少は興味を持てるかもしれません。
過去から綿々と続く「歴史の道」を私たちは歩いています。学ぶことを通してそれを体得して今に活かし、先人からのバトンを未来に繋げていく。それも歴史や古典を学ぶ意義の1つだと私は考えています。