札幌市内の私塾で講師を務めていた頃のこと。塾長の指導方針や授業内容などに納得できないことがあって、それをご本人にぶつけたことがあります。
その際に塾長は私にこう言いました。
「あなたは早く独立したほうがいい。そうすればきっと解るから。」
講師としての経験も浅かった当時20代の私。「訳のわからないことを言って誤魔化さないで欲しい。」と思ったものです。
数年後。いくつかの会社を立ち上げ、今日まで経営者としての人生を歩んできました。
そして、何かを「作り上げる」ことの難しさを嫌と言うほど知りました。
講師時代には、システムや教材等に思ったまま意見を言ってきたものです。しかし、「無いもの」や「不完全なこと」を見つけて指摘するのはそう難しいことではありません。無から作り上げて動かすこと。さらに、それを継続させること。それに比べると雲泥の差だと痛感しました。経営者と雇用される側。抱えている悩みの質も、見えている風景も大きく異なるのだと気付かされました。
理想と現実の狭間で苦悩しながら、経営者の孤独と向き合いながらも、やるべきことを1つ1つやっていくのみです。
…ただ、理解をしてもらう努力もせずに「独立したらわかる」と突き放すような経営者にはなりたくないと思っています。