母が亡くなってからもうすぐ8ヶ月。
生前、父と母は決して仲の良い夫婦ではありませんでした。
しょっちゅう喧嘩ばかりしていて、ひどい時にはどちらかが家出をすることも。
母が亡くなった直前も、軽く口論をしていたんだと父が後に教えてくれました。
それが…。
母が亡くなって、誰よりも泣いていたのは父でした。
祖母(父の母)のお葬式の時には涙をさほど見せなかった父も、母の時には人目はばからず大声を上げ、泣き崩れていました。
四十九日を終える頃まで、まるで抜け殻のようになっていた父。
8ヶ月経った今でも、仏壇の前で肩を落として深い溜息をつく毎日を送っています。
母とはいつも喧嘩ばかりしていたのに、不思議なものですね。
妹から聞いた話です。
死の1週間前、離れて住む妹の家に母が遊びに行った時のこと。
妹が「(父は)いつも料理も作ってくれるし…良い旦那だね」と母に言ったところ、
「本当にそうだね。お父さんと結婚して本当によかったよ」
母は少女のように照れながらも、はっきりと答えたそうです。
どんなに喧嘩をしても、一時的にすれ違いがあったとしても、結局最後まで離れなかった父と母。
その心の結びつきたるや、私たち子供や他人には決してわからないものなのでしょう。
家族のために40年間1日たりとも会社を休まず、定年まで働いてくれた父。
全く贅沢をせず、自分のことより家族のことを最後まで心配し続けていた母。
ようやくこれから、自分たちのために残りの人生を過ごせるところだったのに。
夫婦水入らずで温泉に行ったり、札幌ドームに日ハム戦を観戦しに行ったり…。
そんな2人をもっと見ていたかった。
今日も仏壇には、母が大好きだった桃色の小菊が飾られています。