少し前に書いたこの記事。

社会人になってから大学に入り直し、今も現役の大学院生である元教え子からメールで、「演繹法と帰納法について教えて！😭⤵」と質問されたことがきっかけで書きました。

記事公開後、同業者である塾の先生からは「わかりやすいのでコピペして生徒への説明に使わせてもらいます！」とのメッセージが届いたのですが、肝心の元教え子はまだピンときていない様子…。なのでもう少しだけ具体的に書いてみたいと思います。

ある夫婦がいたとします。

最近帰宅が遅い日が多く、しかもどこかでお風呂に入って来た形跡がある夫。

妻はこう考えました。

●男というのは浮気をする生き物である。

●夫の帰宅が遅い理由の１つとして、浮気が考えられる。

●うちの夫も男だ。

●最近、うちの夫の帰りも遅い。

➡夫は浮気をしているのではないか。

●ホテルなどで浮気をしたあとは、シャワーを浴びるのが普通である。

●帰宅した夫の頭髪からは、自宅のとは異なるシャンプーの香りがする。

➡やはり夫は浮気をしているのではないか。

そう考えた妻は興信所に浮気調査を依頼します。上記の妻の考えが演繹的な道筋。つまり、ある前提をもとに、個別の事象をいくつか繋げて結論にもっていくというものです。

さて、興信所に勤めるKさん。奥さんからの依頼を受けて夫(Ａさん)調査に乗り出します。そして１か月後、この奥さんに調査結果を郵送しました。その内容は…。

●10月１日 18時5分、勤め先である会社から出てくる。その足で同区内にあるパチンコ店□□に入店。21時30分に店を出る。そのあと男性専用サウナ▲▲へ。 サウナ、入浴後に店を出る。23時10分帰宅。

●10月２日 18時8分、会社から出てくる。市営地下鉄に乗り込み、△駅で降車。ローソンに寄って雑誌を立ち読み。ビールとスナック菓子を購入。19時10分帰宅。

●10月３日 18時20分、勤め先である会社から出てくる。この日も同区内にあるパチンコ店□□に入店。21時20分に店を出る。そのあと男性専用サウナ▲▲へ。 サウナ、入浴後に店を出る。23時00分帰宅。

(以下省略)

➡(調査結果)Ａさんは退社後、週に三回ペースで会社の近くにあるパチンコ店に寄っています。パチンコ店に行った日は毎回、サウナ店で汗を流した後に帰宅していました。

この１ヶ月の追跡調査の結果、退勤後に女性と会っている形跡はありません。推察すると、パチンコ店に寄っていることを奥さまに知られたくないＡさんは、頭髪に染み込んだ煙草の臭いを消すためにサウナに行き、洗髪しているのだと予想されます。サウナ店では毎回、備え付けの消臭スプレーを用いて、ご自分のスーツの臭いを念入りに消している姿も見られました。

調査期間であるこの１ヶ月において、Ａさんの浮気の事実は認められません。以上。

…興信所のＫさんの論理が帰納法。具体的な事象を積み上げて、そこから考え得る結論を出す手法です。

こういう抽象概念は具体例に置き換えて理解するのがわかりやすいと思います。

だけど、この浮気の例えは逆にわかりにくかったかな(笑)。