私は3人兄弟の一番上です。
2歳下に妹、10歳下に弟がいます。
現在、妹は結婚して子供が生まれ、
弟は札幌市内の会社に勤務しています。
兄弟仲は良く、マメに連絡を取り合いながら楽しくやっています。
私が14歳のころ。
当時、妹とケンカばかりしていました(笑)
些細なことがきっかけで言い合いになる→・私が論法で妹を追い詰める→・妹が泣く→そして暴力で逆襲してくる
…というのが毎度のパターン
その日も些細なことで妹とケンカをした私。
妹が泣き出したあたりで、珍しく母が登場しました。
そして、「そんな言い方ないよ!まっちゅ(妹)に謝りなさい!」
と私を叱りつけます。
私はなかなか素直に謝れない性格でした。
「確かに言い過ぎた」…と頭では思っていても、プライドや意地が邪魔して謝れないのです。
「はやく、謝りなさい」
母が鬼の形相で捲くし立てます。
妹も泣き腫らした真っ赤な目で、私をじっと見つめています。
こうなったら意地でも謝らないぞ。
そう思う反面、
謝らないとダメだよね…
という良心も湧き上がってきます。
……。
腕を組んで仁王立ちしている母。
口を尖がらせて私を睨む妹。
われ関せずと、おもちゃの車を無言で走らせている4歳の弟。
部屋には息が詰まるような気まずい沈黙が流れています。
…と、そのときです。
弟がおもむろに母のほうを振り返り、まさかの一言を発しました。
「ごめんなさい」
…え~っ!!
なんで、あんたが?!
「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。」
勢いがついたのか、楽しくなっちゃったのか、何度も繰り返す弟…。
唖然としている私たち3人。
調子に乗ってきた弟は、
「ご・め・ん・な・さいっ」と、意識的に滑舌よく発音しながら、「さいっ」でぺこりと頭を下げます。
そして、たまにチラッと私のほうを横目で見るのです。
まるで、
「あっけ(私)は、ごめんなさいが言えないんだ。ぼくが教えてあげないと!」
と言わんばかりの表情です(笑)。
…なんだか急に、意地を張っていることがバカバカしくなってきました。
「ごめんなさい」
とても大切な言葉で、
しかも、4歳の子供だって言える簡単な言葉。
それが言えなくなるくらいのプライドってナンボのもん??
どれほど必要な意地??
明らかに自分のほうが間違えていると、
その時痛烈に感じたものです。
「ごめんね、まっちゅ…」
気恥ずかしくて母の顔は見られなかったけど、
妹の屈託ない晴れやかな笑顔は、今でも瞼に焼き付いています。