妹は会社勤めを数年経験した後、すすきのにclubを開店させました。今から13年ほど前のことです。
妹が脂肪肝と橋本病を発症したためドクターストップがかかり、惜しまれつつも4年で閉店。10年近くの時間が流れた今でも、すすきのの世界では知る人ぞ知る「伝説の店」になっているそうです。
店はすすきのの中心部にあったものの、ボックス席3つとカウンターしかない小さな店。なのに1日の売り上げが30万を切ることが皆無の繁盛店でした。空席を待つお客様でいつも溢れ、誕生日やクリスマスなどのイベント時には行列ができ、近隣のお店の方々に頭を下げて回るほどでしたよ。
妹はママとして、接客・スタッフの指導など、お店を運営すること全般。
私は経理、買い出し、清掃、顧客管理全般…と、役割分担を決めて経営していました。私は当時も講師の仕事をしていたので毎日大変でしたよ。早朝、授業前に店に行って掃除と伝票回収。授業の合間に簿記の専門学校に通って日商簿記2級を取得したり。就寝前にはデータ入力と会計処理。今と変わらぬ多忙さでしたが、得るものの多い刺激的な日々でした。
経営が上手くいったのは、妹の魅力やママとしての手腕の賜物ですが、顧客管理に力を入れたのも成功の一因だと思っています。来店したお客様のデータベースを作成し、名前、誕生日、話した内容、好きなお酒の種類など、担当したスタッフが残したメモを基に私が毎回入力して管理していました。「○○さんから予約が入った」と聞くと、好みのチャームやお酒、煙草を用意したり、興味のある話題について調べておいたり。…ものすごく当たり前で些細なことなのですが、その当たり前のことを丁寧に続けました。そして、私も妹も、お客様が喜ぶことを第一に考えて実践したのです。
まさに水のように流動的で刹那的な世界・すすきので、「変わらぬ安らぎの場」を目指して切磋琢磨した4年間でした。
その後、妹は結婚し出産。
虎視眈々と仕事復帰する機会を狙っています。「あっけ(私のこと)、また経理とかお願いね!」と頼まれていますが…今の私にはそんな時間は到底ありません(笑)。ごめん!!
でも、あの世界がたまに懐かしくなります。
無いものねだりで、妹の華やかさが羨ましかったな(笑)。