さよならは 仮のことば
思い出よりも 記憶よりも深く
ぼくらをむすんでいるものがある
それを探さなくてもいい
信じさえすれば
これは谷川俊太郎氏の有名な詩の一節です。
大切な人に別れを告げる際に、「さようなら」と私たちは言います。だけどそれは単なる仮の言葉に過ぎません。他にぴったりな言葉がないので一旦「さようなら」と言っているだけです。
別れの辛さを癒すために、人はよく「思い出の中で生き続ける」とか、「会えなくてもずっと忘れない」などと言います。しかし、無理に思い出さなくても、意識して覚えていなくても大丈夫です。その人とはもっと深い深いところで繋がっているから。たとえ姿が見えなくとも、もう二度と触れることができなくても、私たちの間には断ち切ることのできない絆があります。縁(えにし)があります。その人が今は私の中に在ることを、いつの日か再び会えることを、ただ信じましょう。
…そんなメッセージが伝わってきます。
亡き母や愛犬のことを思い出してふと寂しくなるとき、心の箱から取り出して眺めたくなる言薬です。