運根鈍(うんこんどん)という言葉をご存知でしょうか。江戸時代から使われている「成功するための3つの条件」のことです。運鈍根(うんどんこん)という言い方もありますよね。どちらも同じ意味です。
最初の「運」は、文字通り「運」のこと。気運や人運など、自分の意志や努力外の巡り合わせを指します。
次の「根」は「根気」•「根性」のこと。土中にどっしりと根を張る植物のように、最後までやり切ることができる強い精神力のこと。
そして、最後の「鈍」。これには諸説あるのですが、「鈍」は「鈍感力」であると私は解釈しています。鋭敏とは真逆の言葉で、少々鈍くてもいいので、周りに流されず粘り強く取り組めること。また、たとえ失敗しても決してへこたれない打たれ強さです。愚鈍だ、鈍重だと人に笑われても、自らの信じた道を愚直なまでにまっすぐに歩いていけること。
今の時代のビジネスは運根鈍ではなく、運根敏のほうが歓迎される傾向にあります。時流を敏感に読み、頭の回転が早い「敏」の人のほうが「鈍」の人より成功する感じがしませんか。確かにそれも一理あると思うのです。先読みをして誰よりもスピーディーに仕掛けていくことで成功を掴みとることも多々あるのでしょう。
でもね、どこかで「鈍」を信じたい自分がいるのですよ。ウサギとカメの説話のように、スローでマイペースであっても、足を止めずに粘り切ることができる人が最後は笑うのだ、と思いたい私がいます。
塾講師の時、この運根鈍という言葉を生徒たちに教えつつ、「成功するための条件。みんなだったらどんな漢字を充てる?」と聞いたことがあります。あれは中1の授業だったかな。
★強大弱(強さと人間の大きさ、少しの弱さ=慎重さ)」
★明楽分(明るさ、楽しむこと、分け合うこと)
など、なるほどねえと思わず唸ってしまう案が出てきましたよ。
皆さんだったら、どんな漢字を充てますか?