ねえ、「およそ」って何?「大体」って意味じゃないの?
小4の娘からそう質問されました。社会のテストで「およそ」の数を聞かれたから大体の数字を答えたのに、思いきり不正解だったそうなのです。
「およそ」は「おおよそ」の縮まった形。漢字で表すと「凡そ」となります。平安時代以前から用いられていた言葉で、次のような意味でした。
★おほよそ
①普通。ひととおり。一般的であること。
②だいたい。およそ。
③まったく(強調)
今はほぼ②の意味だけが残っています。娘が言うように「だいたい」という意味ですね。
ではこの「だいたい」とは具体的にどんな意味合いなのか。細かいところを除いた大まかな部分だったり、内容や数字を大づかみにとらえるさまを表したりします。同義語の「約」との違いを取り上げて、「約」は実際の数値よりも少なめになるときに使い、「およそ」は実際の数値よりも多くなる場合に使用される、との説明もあります。しかし、古文に馴れ親しんでいる私としてはどこか腑に落ちないというか、一体いつからそんな区別ができたのかと、とても不思議に思います。両者は厳密に線引きできる言葉ではないので、話し言葉では「およそ」、書き言葉では「約」ぐらいの認識でよいのではないか、と個人的には考えています。
模範解答は11万人(12万と答えた人も正解だったそうです)。娘は、「テストに『およそ』と書いていなかったら、11または12と書いたんだけど、『およそ』とあったので、切り捨ててしまった」と悔しそうでした。しかし、この設問には、「最も観光客が多かったのは8月だった(スキーシーズンじゃなくて!)」という事実を強調する意図が見え隠れしています。もしも娘の言う通り8月を「10万人」とするなら、1月の観光客だって10万人ということになってしまいますよね。そうなると、たとえ僅差であっても観光客数が多かった8月との差別化が図れません。だから「10万人」という答えは確かに不適切なのかもしれません。
しかし…ですよ。では、1月の観光客の数は「およそ」何人なのでしょうね。こちらも「およそ11万人」ではないのでしょうか。大まかなグラフなのでやはり「およそ」で答えるしかありません。…うーん、あくまでも8月に関しての設問なので、そのあたりは考えなくてもよいのかな(小学生のテストを大人が解くと、妙に深読みしてしまいますよね)。
「およそ=凡そ」の言葉の意味を知っているだけに、私も軽く混乱してしまいました…(笑)。