初心忘るべからず
これは室町時代の能役者である世阿弥のことばです。慢心してはいけないよ。始めた頃の気持ちを忘れずにね。…という感じの意味で受け取られているのが一般的なのかな。
しかし、原義は少し異なっていて、さらに続きがあるのです。
是非初心不可忘(是非の初心 忘るべからず)
時々初心不可忘(時々の初心 忘るべからず)
老後初心不可忘(老後の初心 忘るべからず)
【解釈】始めた頃と比べて自分は成長したのか否か。それを自らに問いながら励みなさい。
段階が上がるごとに新たな局面を迎え、さらなる課題や目標もできるだろう。いつだって誰だって何かしらの「初学者」なのだ。その気持ちを忘れずに取り組みなさい。
そして技術が老成、熟練の域に達したとしても、ゴールなんていうものは存在しない。初めて挑んだ時の苦労。試行錯誤した日々。血の滲むような努力。やり遂げた時の感動や達成感。それらを全て忘れるな。自分にはまだまだ高められることがある。未熟だったかつての自分からそれを学べ。
現代語訳には諸説ありますが、今の私の解釈はこんな感じです。一生未熟。一生学び。果てることなき芸の向上を目指した世阿弥の「熱」が感じられる文言ではないでしょうか。
さて、娘のひかりが4歳の時から習っているジュンスポーツクラブですが、諸事情により今日で退会することになりました。
跳び箱が飛べずに泣いた日のこと。
手のひらに豆を作って帰宅した日のこと。
褒められて嬉しかった日のこと。
初めて逆上がりができた日のこと。
そんな日々の延長上に今の娘がいるのですよね。ジュンのコーチ方には心から感謝しています。
初心忘るべからず。
ラストの今日もチャレンジャーの心意気で臨むようにね。そう言って娘を送り出したのでした。