亡き母は天然ボケを絵に描いたような人でした。
ドジなことや、とぼけた言動をするのはまだ微笑ましい範囲なのですが、私たち子どもが一番迷惑したことは、
「間違った常識」をいくつか教えられたことです。
勿論、母は間違っているとは思っていません。いたって真面目に言っています。
その中には年を重ねてから「あれは間違いだった!」と気づくものもあったりします。
例えば、食べ物の「筋子」。
彼女は筋子を指して幼い私たちに「これはスズコ」だと教えました。
小学生の頃、友人から「スズコじゃなくてスジコだよ」と指摘されたので、帰宅後すぐ母に詰問しました。
すると彼女は、「スジコともいうね。でもね、スズコの訛った言い方がスジコなんだよ」と答えました。
その時は納得しましたが、高校に上がる頃には間違いだったと気付きました。
スズコのほうがむしろ訛ってるよ、お母さん…。
こんな間違いもありました。
歌手の松崎しげる、いますよね。
彼をテレビで見ていた当時小学三年の私。
「ねぇ、この人ってどうしてこんなに肌が黒いの?」と母に尋ねました。
すると母はこう答えたのです。
「肝臓の病気なんだよ。肝臓を悪くするとあんな色になるんだよ。…歌がこんなに上手いのにね…。」
悲しそうな表情の母。
すっかり私も信じてしまいました。
…そうか、この人は肝臓の病気なのか。
薄命の歌手なんだな、かわいそうに…。
数十年を経た今。
まだまだパワフルに歌っていますよね?
若い奥さんをもらって…元気じゃん!(松崎さん、ごめんなさい)
こんなエピソード、まだまだあります。
間違った情報を正しい情報に上書きするのは結構大変だったのですよ(笑)。
だけど全く憎めない愛すべき母でした。
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