群馬県での出張講義が終わった。
授業をするといつも感じることがある。
それは、「教室は生きている」ということだ。
教室には「色」があって、受講する生徒のカラーが少なからず影響する。
例えば、熱心な人が多い教室。
寝不足や疲れている人がいる教室。
その生徒の個性やその時の状態が、そのまま教室の雰囲気を作り出す。
ともすれば、講師はその雰囲気に圧倒され、飲みこまれ、時には支配されそうになることさえある。
だが、それでは納得のいく授業はできない。
授業の流れを作るのは当然講師であり、教室には講師のカラーが色濃く反映されるべきだ。
かといって、力付くで自分の色に塗り替えるのでは上手くいかない。
その日の生徒のカラーを体で察知し、ゆっくりと呼吸を合わせる。生徒のカラーを活かし、利用するのだ。
モチベーションが低い生徒がいる時には、具体的で楽しい例え話をしたり、体験談を効果的に差し込む。
眠そうな生徒がいる時には、みんなに音読をさせる。
どこか批判的な感じのする生徒がいる時には、あえて目を合わせにいったり、笑いかけたりする。
生徒の様子をしっかり観察しながら、常に講師のペースに巻き込むのがコツだ。
講師の個性と「これだけは伝えたい」という思い。それが七割。
生徒の個性とその時の状態。これが三割。
二者が調和し、教室の色を染め上げ、生き物のように拍動する。
そんなイメージを持ちながら、私はいつも授業をしている。
決して一方通行にならないように。
とは言え、生徒のペースに巻き込まれないように。
…今日、授業が終わって生徒を送り出した時のことだ。
最初はニコリともしなかった生徒が帰り際、「受けてよかった。」と何とも言えない笑顔で言ってくれた。
7時間もの授業の疲れが一気に吹き飛んだ瞬間だった。
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