私が高校生の頃の話。
自習時間に友達と学校を抜け出して、向かいの商店にアイスを買いに行ったことがありました。結局、体育の先生に見つかって玄関で正座させられたのですが、その際に当時の担任だった先生(私の本に寄稿してくださった三井先生です)が私たちを引き取りに来てくれました。
「校則が理不尽で納得できない。黒の靴下がダメとか、スカートの丈とか…誰にも迷惑を掛けないのに意味がわからない。」
話の流れの中で、私がそんな感じの愚痴を言ったところ、三井先生はこんな事を話してくれたのです。
「人生には2つの選択肢がある。今の状況を受け入れるか、状況を変えるための責任を受け入れるか。…現状に納得できないのなら、それを変えてみせるという覚悟と責任をもって行動に移すしかない」
三井先生は若い頃から、高校教師とは到底思えないほどアウトローな雰囲気を漂わせていました。この日も、頭を掻きながら面倒臭そうに私たちを玄関に迎えに来て、開口一番、「もっと上手くやりなさいよ」と大声で言い、体育の先生から思い切り睨まれたぐらいです。なぜ正面玄関から出て行ったのか、なぜ4人全員で行ったのか、見張り役を何故つけなかったのか…など、一通り、私たちの脇の甘さを指摘しまくった三井先生が、先の私の愚痴に対して話してくれたのがこの言葉でした。
「人生には…」云々は、アメリカの作家であるデニス・ウェイトリーの名言だということを暫くして知りましたが、今でも私は三井先生の言葉として胸の中に留めています。
状況を変えるだけの覚悟と責任がないのなら、潔く現状を受け入れる。
状況を変える覚悟があるのなら、最後までやり通すだけの責任をもって自ら行動する。
これまでの人生、本当に手に入れたいもの、どうしても実現させたいものと出会った時には迷わず後者を選んできた私。同じ受け入れるのなら、変えられない現状よりも、変える責任を受け入れたい。たとえ上手くいかなくても、何もしないでぐちぐちしているより千倍まし。
そうやってこれまで生きてきました。
あの時の三井先生の言葉は、30年以上経った今でも進むべき道を照らしてくれています。