(前回の続きです)
今年7月末、母のお葬式で塾時代の同僚N先生と再会しました。
すぐに連絡を取り合い、先週電話でN先生と色々なことを話しました。
そのうち話題はⅠくんのことに移り、N先生は「人から聞いた話だけど…」という前置きをしてからⅠくんの近況を話してくれました。
Iくんが14才の時、あの母親は再婚したそうです。
その直後からIくんは不登校になりました。
いわゆる「ひきこもり」になったのです。
結局、高校へ進学もしなかったそうです。
…小学3年生だった彼は、勉強が大好きな子でした。
好奇心に溢れ、人の気持ちがわかる子でした。
強い意志と大きな夢を持っているしっかりとした子でもありました。
9年の月日で彼が変わってしまったとしたら、その原因は何なのでしょう?
全ての原因だとは断言しませんが、彼を取り巻く「環境」が彼の人生に大きく影響を与えたことは間違いありません。
親を始め、周りの大人たちが彼を変えてしまったのです。
彼をよく知っている私は決して、「Iくんが弱かったから」とは言えません。
言いたくありません。
そして現在、18才になったⅠくんは、母親の親戚がいる青森県で、伯母のもとに暮らしているそうです。
「母親が一緒に暮らしていた男性とともに姿を消したらしいよ」
深い溜息をついたあと、N先生はそう呟きました。
Ⅰくんの今の心中を察すると、胸が締め付けられる思いがします。
でも、もう何でも自分で出来る年齢になりました。
そして自分を取り巻く「環境」が変わりました。
これからがⅠくんの再スタートではないかと私は思います。
Ⅰくんの今後の人生が輝きと喜びに満ちたものになることを、
講師として私が出来ることに日々取り組みながら、
いつも心から願っています。
ここからは追記です。
子供は親だけが育てるものではありません。
ましてや、学校や塾だけが育てるものでもありません。
家庭、学校、塾、地域…。
社会全体で育てなければいけない存在なのです。
「塾に通わせているんだから、塾は成績を伸ばして当たり前だ」
そんなことを言う親がいます。
本当にそうでしょうか?
子供の学力は、色々な力が影響します。
「体力」がなければ、勉強はできません。
「筋力」がなければ、椅子に長く座っていられません。
「気力」がなければ、向上心や学習意欲が続きません。
それらは、「栄養のある食事」や「適度な運動」、「安定した精神状態」がベースになって維持される基礎力…「生きる力」がベースになっています。
この力なくしては、勉強はおろか健全な生活を送ることすら危ぶまれます。
これらの力を支え、毎日提供しなくてはならないのは、最も身近な存在である「家庭」です。
塾が、生徒にごはんを作ってあげることはできません。
規則正しく健康な生活を送ることを、実際この目で見届けてあげることはできません。
それは「親」がやるべき義務なのです。
もちろん、私たち学習塾は子供の学力を伸ばすことに尽力する機関です。それに異を唱えるつもりは全くありません。
ただ最近は、子供のそれら「生きる力」を養成することをせずに、学校や塾に「丸投げ」する親が増えてきている気がしてなりません。
それは間違った考え方だと断言できます。
私はとてもお節介な人間です。
塾でありながら、生徒の健康管理にも口を出したい性分(笑)です。
その性分が高じて、美学では数年前から「美学通信」というご家庭向けの新聞を不定期発行しています。
お母さん、お父さんをはじめご家族全員に読んで欲しい内容です。
バックナンバーが美学にもありますので、お読みになりたい方はご一報下さいね。(もちろん無料です。データをメールにて送ることもできます♪)
北海道新聞にも紹介して頂きました。
美学スタッフ(ヨガインストラクターの小林&管理栄養士の山口、そして私が記事を担当しています。)