谷川俊太郎さんの言葉は、上っ面だけではなく、魂に染み入る感じがします。年を重ねるごとにそう思うようになりました。
「どんなにまわりを明るくしたって、人間は自分のからだの中に暗闇をかかえこんでる。
たとえたったひとりでいるとしても、人は他者の視線を意識的せずにいることはできない。人は自分のうちにすでに他者をもっているから。
科学者、物書き、天才、凡人の別を問わず、私たちはみな自分の内部にブラックボックスをかかえこんでいる。ただ明るいだけじゃこの世は嘘になる。一寸先は本当はいつも闇だ。
だけど窓のむこうに何があるか、それへの好奇心は常に恐怖に打ち克つ。そしてそのときぼくらは窓じゃなく扉を開けて、一歩外へ踏み出すんじゃないかしら。谷川俊太郎