前回の続きです。
いつもAちゃんと野球談義で盛り上がっていたお客様からの突然の指名チェンジ…。
妹は驚いてその理由を尋ねました。
するとこんな答えが返ってきたのです。
「Aちゃんは野球に詳しいのはわかるけど、何だかヤローの友達と話しているみたいなんだよな~。別にオレ、『野球討論会』をするためにこの店に来てるわけじゃないしさぁ(苦笑)」
さらに詳しく話を聞くと、Aちゃんは既に相当野球に精通していたようで、例えば
「次は○○が投げるね」とお客様が話すと「いえ、△△だと思います。なぜなら…」とお客様顔負けの知識や理論を展開することが多かったらしいのです。
野球討論会をしに来てるのではない。
…そりゃそうだ(笑)。
その時、妹は気付いたそうです。
お客様は会話を楽しみに来ている。
それはきっと真実だろう。
でも、もっと突き詰めると「自分の話を聴いてもらうこと」を楽しみに来ているのではないか?
人間には様々な「欲求」があります。
あまり意識はされていませんが、その1つとして「話したい!」という欲求も強く持った生き物なんだそうです。
誰かに話を聴いてもらいたい。
それはすなわち、「自分を受け入れてほしい」「自分という人間をわかってほしい」
個人差はありますが、人間はみんなそんな気持ちを持っているのではないでしょうか。
クラブにいらっしゃるお客様も同じ。
ママや女の子に話を聴いてもらいたいのです。
愚痴や悩み。
嬉しかったことや自慢話。
自分の信念や夢。
そして、それらに対して頑張って日々生きている自分自身のこと。
それらを聴いてもらいたい。
「話す」という行為を通じてわかってもらいたい。
…お客様全員ではなくても、少なからずそんな思いを持って来店されるのではないか?
それならば、最も磨くべくは「話術」ではなく、「聴く力」のほうではないだろうか。
お客様の話の内容をしっかり聞きとめ、
お客様が話しやすいように相づちや質問をしながら、
楽しそうに、そして敬愛の念を込めて傾聴する。
そんな「聴き方」を身に付けることが、接客において重要なことなのではないだろうか。
それこそ、お客様に心から喜んで頂ける究極のサービスであり、ホスピタリティなのではないか。
今回、それを身をもって実感したことは私たちにとって大きな大きな収穫でした。
さあ、作戦の練り直しだ!
(続きます。)