塾長ブログ

古文日記~「金魚むすび」の思ひ出。

久々に「古文日記」を書いてみました。今回は日記というより述懐かな。高校生も私のブログを読んでくれているので、敢えて重要文法を多用してみました。単語も易しめのものをチョイスしたつもりです。読みやすいように所々で「」も用いています。受験生は古文を読んで内容が理解できるかどうか、力試しをしてみてくださいね。
うお座古文作文
幼きほど、金魚ぞはぐくみたることありし。祭りの店棚の「金魚むすび」して得たるものなり。そのかみは小さかりけるを、とりあへず身の広ごりて、こしらへるうつはものにては所狭からむに見えたり。しかれば、あらたしくて漫々たるうつはに移さむと思ひたるより、かの金魚いたづらになりにけり。いきおひ過ぎてうつはよりや出でぬべかりけむ、あしたにおどろければ、下に落ちてこそ失せにけれ。尾朽つるなやみをしのぎて長らひたる金魚なりければ、いとど口惜しかりしこと限りなし。
およずきたる今もかの時思ひ出でられて心憂きなるぞかし。されば、祭りにてめなごの「金魚むすびこそせまほしけれ」とむずかるともあながち思ひ解かざるなり。我のごとき心苦しき思ひをさせましかばいとほしからましとてなほ淀まるぞ。

うお座現代語訳

小さい頃に金魚を育てていたことがあった。お祭りの屋台で金魚すくいをして取った金魚である。当初は小さかったのに、あっという間に体が大きくなり、用意したケースでは窮屈そうに見えるようになった。だから新しくて広いケースへ移すことを考えていた矢先、金魚は死んでしまった。勢い余って水槽の外に飛び出してしまったのだろうか、朝目覚めると床に落ちて死んでいた。「尾腐れ病」を克服して何とか生き延びた金魚だっただけに残念で仕方なかった。
大人になった今でもその当時のことを思い出して切なくなる…。だから、お祭りで娘が「金魚すくいをしたい!」と駄々をこねても、決して首を縦には振れないのである。私と同じような思いをさせてしまったら…と考えるとやはり躊躇してしまう。


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