予備校講師としての新人時代。

先輩の先生から「落語を見るといいよ」と言われたことがあります。聴衆(生徒)を惹き付け、魅了するような授業をするためには「笑い」が不可欠だとも。

確かにひたすら説明ばかりしていると、聞いている生徒も疲れますよね。集中力が切れそうなタイミングで笑わせると教室の空気が変わりますし、良いリフレッシュにもなります。

でもね。最初は上手くできませんでした。落語も何度か借りてきて観ましたが、私に同じことができるとは思えません。…ものすごく悩みました。悩んで試行錯誤を繰り返し、「笑い」と言ってもギャグ的なものではなく、私なりの「笑わせ方」を生み出したのです。

例えば、自分の日常生活について話したり(失敗談が多い)、自分の家族の面白エピソードを披露したり。言葉や文を説明する時の「例え」を突飛のない設定にしたり。引き換えに「坂本先生は天然キャラ」とか、「坂本先生は毒吐きキャラ」とか、有り難くない印象を生徒に与えてしまいましたが、続けていると授業の中で意識的に作るこの「面白タイム」を楽しみにしてくれる生徒が増えてきたのです。それだけではなく、人間としての私に好感を持ってくれたりもして。結果、授業を集中して聞いてもらえるようになったから不思議です。

20年以上経った今でも、生徒に説明する際は何とか１度は笑顔にさせるよう心掛けています。

娘は根っからのコメディアン。

たまに羨ましくなります(笑)。