係助詞の「ぞ」「なむ」「や」「か」が文中にある時は文末は連体形に。「こそ」がある時は文末が已然形になる。
中・高校生なら必ず覚えているはずの古典文法である「係り結びの法則」ですね。
今日は、これら5つの係助詞の中から「こそ」をピックアップして説明してみます。
●花こそ いみじく あはれに 咲きたれ。
(訳)➡桜がとても美しく咲いている。
文中の「こそ」は強意の係助詞。直前の言葉の意味を強めるという役割を持っています。
桜がとても美しく咲いている。
この場合、「桜」を強調しています。
そして古典文法では、「こそ」を文中に使った時には、文末を「已然形」にするというルールがありました。
つまり、本来なら、
●花 いみじく あはれに 咲きたり(終止形)。
のところ、「こそ」を使ったために、
●花 こそ いみじく あはれに 咲きたれ(已然形)。
と、「たり(終止形)」が、「たれ(已然形)」となっているのです。ただ、文末(結びの語)が已然形になっても、この場合は単なる強意なので文意は変わりません。
大学入試などに出題される知識としては、この「こそ」の結びである已然形で完結せずに、文が続いてしまう時のパターンです。
●花こそ咲きたれど、鳥鳴かず。
(訳)桜は咲いているけれども、鳥は鳴かない。
この文では「こそ」が使われているのに、文末が終止形の「ず」となっています。実は「こそ」の結びは「咲きたれど」の「たれ」です。でも、この「たれ(已然形)」に「ど」がくっついてしまい、一見して結びの語が無くなっているように見えます。
これは逆接用法の1つ。
「こそ…已然形、~」の形で、
「…けれども(のに)、~」と訳します。
平安あたりから、「こそ」は先に述べた通り、強意として使われるようにもなりましたが、上代で「こそ」はこの逆接用法がメインで用いられていました。
そして、逆接用法は現在でも使われています。以下のように。
●多少の間違いこそあれ、堂々とした発表だった。
➡多少の間違いはあるけれども、堂々とした発表だった。
私のブログは受験生も沢山読んでくれているので、今回は係助詞の「こそ」を取り上げてみました。混乱させたくないので、あまり細部に入り過ぎないように説明しましたが…どうでしょう、理解できましたか。
古典文法は複雑で覚えにくい、とよく言われますが、ポイントを押さえて学習すればそう難しくはありません。また機会があればブログでも書いていきたいと思います。