「日本語は難しい」と言われる理由の1つに、「敬語」があります。
職業柄でしょうか、私は言葉遣いに敏感です。
「ら」抜き言葉や「さ」入れ言葉、そして敬語表現は特に気になります。
例えば、次の敬語表現は誤用だと言われています。
①先生がおっしゃられたことは、よくわかります。
②「坂本明美の家族の者です。こどもが熱を出したので、お休みをください。」
①は尊敬語「おっしゃる」+尊敬の助動詞「る」の連用形「れ」の形。つまり、二重に尊敬表現が使われています。天皇陛下などの最高身分の人に使うのならともかく、一般的にはどんなに尊敬に値する人に対しても用いないのが常識です。
正しくは、「先生がおっしゃったことは、よくわかります。」となります。
②は、「お休み」が間違いです。「休む」のは話し手の身内であり、自分や身内の動作には尊敬表現は使いません。「休み」を上品に言った「美化語」との解釈もありますが、「相手の動作や持ち物」に対して使うときには尊敬語として分類されます。
…例を挙げますね。
・私は お弁当を持って職場に行っています。→弁当は「自分」のものなので美化語
・お酒もたくさんありますのでお飲みくださいね。→酒は「自分」または「不特定の者」のものなので美化語
・早々にお返事をくださいまして、ありがとうございます→返事とは「返事をする」という動作であり、しかもその動作主は「相手」なので尊敬語
では、②をもう一度見てみましょう。
「坂本明美の家族の者です。こどもが熱を出したので、お休みをください。」
休みは「休む」という動作なので、動作主に対して敬意を表わす尊敬語です。ところが、動作主=休む人は話し手の子供(自分の身内)。この場合だと、話し手は自分の子供に対して尊敬表現を使っていることになります
変ですよね。
なので、「お」は付けません。
②を正しく言うなら、
「休ませてください」または、「休みをいただきます」となります。
勿論、自分が休むという連絡をする場合も同様です。
本当に、敬語って難しいですよね~
相手への思いやりや相手を尊重する気持ち。
それがあってこその敬語表現です。
そして、その延長上に「正しい敬語表現」があります。
敬う気持ちを「言葉」に乗せて相手に届ける。
私が考える「敬語」の定義です。