最近、生徒やお母様から、「LINEが原因で人間関係トラブルが起きている」という旨の話をよく聞きます。
昨年までも数件ありましたが、今年に入ってから特に多くなってきた感があります。
ある生徒(Aちゃん)からは、「自分の親友(Bちゃん)がグループLINEでいじめに遭っている」という相談を受けました。
Bちゃんが発した一言を、いじめのリーダー格の人が誤解解釈してしまったことが発端のようです。Bちゃんは汚い言葉で罵られ、彼女のトークに対して無視する状態が続いているということでした。BちゃんがLINEを辞めるのは時間の問題だとAちゃんは嘆いています。
Aちゃんは何度も仲裁するべく働きかけたつもりでしたが、残念ながら焼け石に水…。誤解されるような言い回しをしたBちゃんが悪いのか、たいして確認もせずに怒りのボルテージをいきなりMAXまで上げてしまったいじめリーダーが悪いのかわからない、とAちゃん。
そうですね。どちらも悪いと思います。
言葉足らずのまま不用意にトークを発してしまったほうも、「もしかしたら誤解があるのかも」と本人に直接確認せずにグループLINE内で暴走してしまったほうも。
どちらにも落ち度があります。
要は、コミュニケーション能力が不足している人間がLINEなどのツールを使うと、このようなトラブルは起こるべくして起こるということです。
LINEやTwitterなどのSNSやメールは気軽に情報発信できて便利な反面、トラブルの火種を大いに秘めています。
相手の気持ちを考慮した返答をすることや、行間を読んで本心を察することが要求されるのですが、これらはとても難しいことですよね。大人だって失敗することがあるのです。ましてや、コミュニケーション力が乏しい子ども。相手を傷つけたり、傷つけられたりは当然あり得るでしょう。
LINEなどで相手との関係がこじれてしまったときの対処法は大きく2つ。
1つ目はズバリ、すぐに謝ることです。
自分の不用意な言葉によって嫌な気分にさせてしまったこと。相手の気持ちや事実関係を確認せずに言葉面だけで思い込みをしたこと。言葉足らずや、感情的な表現をしてしまったこと…などなど。
自分が悪かった点、至らなかった点を省みて、誠心誠意謝ることが大事です。
2つ目は、直接会って話すこと。話し下手でも構いません。表情や態度から悪意がなかったことが伝わりさえすればよいのです。LINEやメールでのやり取りではやはり限界があります。コミュニケーションの基本はやはり、直接向き合って話すことと聴くことです。たった3分でも、お互いに顔を付き合わせて話すだけで、冷たい氷が一気に溶けることも多々あると思います。
もしそれらが全く通用しない場合は、「待機」ですね。時間薬という言葉がありますが、大抵の人に関して、怒りというものはさほど長く持続しません。その人に対する嫌悪感というモヤッとした感情は残っても、いざこざの内容を細部まで覚えている人は滅多にいないと思います(よほどの怒りは除く)。
一定時間待ってから、話し合う機会を作ると案外お互い水に流せることもあります。
とにもかくにも、国語力に裏付けられたコミュニケーション能力はどんな場面でも必要なのだと思います。文明の利器が今後どんどん出てきても、人と人とのやり取りには、コミュニケーションの原点である「話す」「聴く」「書く」「読む」の4つの力は決して欠くことができません。
そしてこれらは、テクニック重視の受験勉強よりもある意味重要であり、一生その人間について回る力でもあります。