塾長ブログ

言わぬが花。

言おうか、言うまいか迷っていることは言わないほうがよい。

これは私のポリシーです。


高校2年生のとき。

その日は古典の授業で、世阿弥の「風姿花伝」という作品を学習していました。

世阿弥は室町時代の能役者で、能評論家でもあった人物です。

彼の有名な教えの1つに「秘するが花」というものがあります。

「舞台で全て見せきるのではなく、一部だけを象徴的に見せて、観客の想像力や余韻を尊重するほうが感動が深い」という考え方です。


授業中、当時の国語の先生がこう言いました。

「秘するが花と似た言葉に『言わぬが花』というのがある。言うか、言うまいか迷っていることは言わないほうがいいというものだ。……ね?」


この「…ね?」で、私は先生と目が合いました。

もちろん先生に他意はなく、単なる確認の「…ね?」だったと思います。

でも私はものすごくドキッとしたのですあせる

当時好きな人がいて、告白しようかどうか迷っていた時期だったから。

自分の気持ちが先生に見透かされているかのような、気恥ずかしさを感じました。

自分の心に疑いがなく素直に思ったことで、言われた相手も嬉しいだろう言葉はドンドン言うべきだと思います。

たとえば、「ありがとう」とか「いつも助かっているよ」…とか。

言い惜しみせずに積極的に口にするよう、私はいつも勧めています。


でも、言うべきか言うまいか迷っていることは、言葉にしないほうが無難でしょう。

後悔をすることが多いからです。


「相手を傷つけるかな?」

「気分が悪くなるかな?」

などと、相手のことを思ってためらう時も。


「こんなこと言ったら嫌われるかな?」

「自分の立場が悪くなるかな?」

などと、自分勝手な理由でためらう時も(笑)。


いずれにせよ、少しでも迷いがあるうちは言わない。

その気持ちが心の中でしっかり成長し、熟した段階で言葉を発するようにする。

私はいつもそう心掛けています。


ちなみに。

当時、片思いしていた彼には結局思いを伝えませんでした。

数ヵ月後、彼よりも「彼の親友」を本気で好きになって付き合い出した私。

当時、「あの時告白しなくて良かったぁ汗」と安堵したものでしたべーっだ!


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