アントニオ猪木さんの有名な言葉に、「馬鹿になれ」というものがあります。
馬鹿になれ。とことん馬鹿になれ。恥をかけ 。とことん恥をかけ。かいてかいて恥かいて 裸になったら見えてくる。本当の自分が見えてくる。(アントニオ猪木)
実は私、今までの人生で2度ほど「馬鹿になれ」と人から言われたことがあります。1度目は中学2年の時、当時の担任の先生(幸丸政実先生)に。「書くこと」の楽しさを教えてくれた先生です。編集局に所属していた私はある日の放課後、教室に残って新聞の局説を書いていました。上手く記事が書けずにいた私に幸丸先生はこうおっしゃったのです。
「坂本はもっと馬鹿になった方がいい。失敗を恐れて縮こまっていたら、お前らしい文章は書けない。お前らしい文章じゃなかったら、読んでいる人の心には深く刺さらない」
何十年と時が流れても、先生にかけていただいた言葉を一字一句、正確に覚えています。今の私を形成してくれた言葉です。
「馬鹿になれ」と次に言われたのは30代半ば頃。仕事上、ご縁をいただいてよくお話させていただいていた「定山渓ぬくもりの宿 ふる川」の社長(当時)•古川善雄さんにはこう言われました。
「坂本さんはもう少しね、馬鹿になったほうがいいなあ。そうしたら良い結婚相手と出会えるよ。恋愛はね、馬鹿にならないとダメ!」
なぜそんな流れになったのか、よく覚えていませんが、きっと恋愛話をしていたのでしょうね。独身だった私に、繰り返しそう力説されていました(笑)。
見栄、中身の伴わないプライド、自縄自縛に陥るだけのこだわり。失敗してもいい、恥をかいてもいいから、そんな鎧を全て脱ぎ捨ててありのままの自分で勝負しよう。…そんな覚悟で臨まなければいけない時が人生にはあるのかもしれませんね。