「しかし」と「ところが」はどう違うのですか。
今日の清田校で中学生からそんな質問を受けました。
どちらも「逆接」の接続詞。大して違いは無いように思えます。前の文と反する内容が後に続くときに使う言葉ですよね。
しかし、厳密に言えばニュアンスが少々異なります。「しかし」が、前の文とは反する内容を幅広く導くのに対して、「ところが」は、後の文の内容が意外性のあるときや予想を大きく裏切られるときに用います。つまり、「えっ?!嘘っ!!」と大きく驚くような内容が続くときに使う接続詞なのです。
例えば次の問題。
「しかし」と「ところが」のどちらを入れるのがより適切でしょうか。
①この苺は美味しい。【 】、値段が高い。
②街で親友のヒロトにばったり会ったので声を掛けた。【 】、彼は無視をして通り過ぎたのだ。
③夜更かしをして勉強をした。【 】、テストの結果はやはり散々だった。
全て「しかし」でも「ところが」でも、どちらも当てはまりそうですよね。それでも敢えてどちらかを入れなくてはならない時には、【 】の前後を確認し、意外性の強いものに「ところが」を使います。
まずは①について。苺が高いことはそこまで意外なことではありません。1個10円の「うまい棒」が高かったのなら意外過ぎますが、苺なら高くても予想がまるでできないことはないですよね。
③も、文中に「やはり」とあるあたり、想定の範囲内だと思われます。したがって、①も③も「ところが」は入れられないため、「しかし」が答えになります。
②はどうでしょうか。親友なのだから、声を掛けたら返事をしてくれてもよいものですよね。ですが、親友は返事をしてくれなかった。書き手にとってかなり意外なこと、大きく予想外な事態なので、ここは「ところが」を入れるのが適切です。
細かく言うと、「しかし」には逆接以外の用法(述語の限定制限・並列・同類対比など)もあるのですが、生徒に教える際には、上記のように簡潔に教えています。
とは言え、「しかし」と「ところが」の違いを取り上げて中学生に問うのはどうなのかと若干疑問を覚えます。中学生に理解してもらうべき優先順位はそこではないよね、と言いたくなります。
それでも、普段当たり前に使っている言葉を見直してみるのは大いに意義のあること。一段深いところに潜む気付きが得られます。
それにしても、やはり日本語は難しいですね。